不眠の治療 私の場合2 ー認知行動療法をアレンジするー

前回までのお話:不眠の症状が出たので、「認知行動療法」で改善を図ることにした。

 

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試してみて難しかった部分

「自分でできる不眠克服ワークブック」には具体的な取り組み方が載っており、最初私はそれに沿って進めた。

この本は睡眠の認知行動療法への取り組み方が書かれている。また科学的根拠に沿った睡眠によい生活習慣の紹介も一通りなされており、自分で睡眠改善をを試みようという場合には大変役にたつ本だ。

 

一方で、ワークブックを参考に治療を進める上で自分が個人的に困ったことがあった。患者が1人でできるように、ワークブック上ではかなり具体的に、言い換えると厳格に方法が決まっており、それを守ろうとすると辛い部分があったのだ。

具体的には、先のブログで就寝・起床の時間を「11時前ー6時半」から「11時ー5時」に変えた話を書いたが、こちらは元々ワークブックに書かれていた内容ではなかった。

ワークブックとしては、「入眠時間は必要な時間(6時半など)に固定し、就寝時間を12時や1時などに遅らせることで自然な睡眠欲求を高める」ということが書かれていた。

ワークブックの方法だと、眠くかつもう用事もないので寝られるタイミングが来ても、決めた入眠時間までは無理やり起きておいて寝てはならないためしんどかった。

とはいえ、「あえて自分を寝不足にさせておくことで、入眠させやすくして寝室恐怖・入眠恐怖を和らげる」という趣旨は理解するし、「眠い・辛い状況に耐える」要素も治療の一環なのかなと思うと、あまり自分で好き勝手な時間に寝るのもよくないかなあと思っていた。

 

自分が取ることのできた解決策

私は幸運なことにたまたまカウンセラーさんに相談する機会があった。その方は「睡眠の認知行動療法」自体の専門家ではなかったが一般的な認知行動療法については専門家の方だ。その人に自分の取り組みや悩みをシェアして、それをもとに朝起きる時間の方を主にコントロールするのはどうかという提案をしていただいた。

    • 11-5時を基本の睡眠とする。入眠時間を厳格に縛るというよりは、「5時に眠くても起きる」ことで睡眠制限をする。その後、改善していったら起床時間の方を少しずつ遅くしていく予定。

    • 5時に起きて、昔は習慣的に実施していたジョギングを自分の楽しみのために取り入れる。(仕事の事情で朝のジョギングをしばらくやめていた。)

入眠については、眠りたい時間の3時間前までにできれば散歩かジョギングをして、眠りたいタイミングの12時間前頃に明かりを落とした湯舟に浸かって入浴し、その後暗くした部屋で音楽かオーディオブックを聞いてゆったり過ごす、というルーティンをすれば必ず強い眠気が来るようになった。多少入眠時間とずれていても、その眠くなったタイミングで寝るとスッキリ寝入ることができるようになった。残業で遅くならざるを得ない日は1時間-2時間以内の範囲で、入浴時間をコントロールすることで調整。疲れていて30分ほど早く寝たい日も入浴時間をその分早めることで寝られるようになった。(どちらにしても34時頃に中途覚醒するなど後半の眠りが浅い傾向がまだあることもあり)5時でも割とあっさり起きられる。5時に起きて身支度をして、日の出とともにゆっくり外を走るのは至福のひと時。不眠症に付随して仕事の生産性が上がらないストレスや体がきついストレスなどいろいろあるが、確かに治療中の心の支えになった。

 

治療の経過

ちょうど秋ごろで段々と夜明けが遅くなるタイミングだったこともあり、睡眠が改善するに従い、起きる時間を少しずつ遅くしていった。9月ごろの最初2−3週間ぐらい5時起きで、その後10月ごろは5時半過ぎに起きるようにした。そして11時以降は基本的に6時ごろに起きるようにしている。寝る時間はその間ずっと、平日は10時半ー11時過ぎの間の眠くなったタイミングで寝るということで概ね固定している。ただし、上記はあくまで「平日はできるだけこの時間に寝て起きる」という目安として運用していたため、実際は私の場合は途中から休日は1時間ほど遅く寝て起きたりしているし、平日も30分ほど幅があったことは申し上げておきたい。カウンセラーという第三者の目があったからある程度幅を持ってできたという部分があるかもしれないが、私はこれぐらいの緩さで睡眠制限を実施していた。

最後に

認知行動療法の睡眠制限法一般的と思われる「夜の寝る時間を遅くする方法」だと、一度来た眠気と戦って無理やり起きておくようなことをしないといけなくて、より消耗していたのではないかと思う。自分の場合は、不眠が一番重い時期以外入眠障害がほとんどなく、主な不眠の症状が中途覚醒早朝覚醒だったため、夜寝る時間はあまり変えずに朝の起床時間を変える方法が体質にあったのかもしれない。私はカウンセラーさんと話して自分に合った方法で睡眠制限法をアレンジできたが、もっと個人にあった工夫を試せる環境が提供されるとよいなと思う。*1

*1:睡眠外来にかかればよいという話もあるが、保険外の治療であることもあって、睡眠の認知行動療法を提供しているお医者さんが日本には少ないのだ。