不眠の治療 私の場合

私は数ヶ月前に不眠の症状が出て、それを認知行動療法を主な手段として、数ヶ月かけて徐々に改善させた。

不眠症認知行動療法は効果的だったが、この治療法にしても睡眠環境の改善にしても一人一人の最適な方法はバラエティがあるもので、もっと患者側の発信があると役立つこともありそうなので書いてみることにした。

あくまで素人の一患者による記載であるため、医学的に不正確な部分があるかもしれないのでその点はご容赦いただきたい。

自分が発症した不眠の症状

元々、7時間半程度の睡眠が必要であることを自覚しており、元々は 実際その程度眠れていた。

一方、数ヶ月前にいきなり発生した眠れない日はこんな感じだ。

11時に布団に入るが寝つきが悪い。なんとか一旦眠るのだが、2時や3時などの夜中に途中で目が覚めてしまい、その後全く眠さを感じなくなってしまう。トイレなどをすまし水を飲んで再び布団に入っているが、眠れる気がしないまま朝がくる。実質3時間ぐらいしか寝れなかった。翌日の体調はやはり悪い。眠いし、集中力も下がり、文章や会話を即時に解釈理解する能力も下がる。そして恐ろしいことに、昼間これだけ眠いと思っていたのに、夜の寝る時間になるとやはり眠くないか、途中で目が覚め、眠れないー。

異常事態だ。何より辛い。そう思って、不眠が続いて3日目ごろ*1から、睡眠の本をいろいろ読み漁るようにした。

不眠症の原因

本を色々読んでいくと、原因が思い当たってきた。

発症のきっかけとしては、やることがない休日の夜に、明日の仕事に備えようとするあまり、無理やりいつもより1-1時間半早く寝ようとする傾向があった(安眠に関して良くない習慣であったと今は理解している)。ある日も、そうやって無理やり早く入眠しようとして寝れなかった日をきっかけに、夜寝ようとしても寝付けなくなってしまったようだ。よく寝付けない日が続くことで、「ベッド=眠れない場所」という無意識の条件反射が出来上がってしまい、不眠が持続してしまう。そのようなメカニズムで不眠症になってしまったようだった。

本によると、無意識に出来上がってしまった条件反射を修正するためには「不眠症認知行動療法」が良いらしいので試してみることにした。

不眠症認知行動療法

不眠症認知行動療法に関するわかりやすい記事は以下があるのでそれを読んでもらうのが確実だと思う。また、詳しく知りたい場合は本を読んでほしい。

不眠症の原因と改善法、自分でできる認知行動療法、睡眠の質を高めるには | NHK健康チャンネル

 

ここでは簡易に私がやったことと合わせてポイントをまとめると、

寝床にしがみつかない:「ベッド=眠れない場所」という条件反射が不眠の原因になっているのだった。そのため、眠くなるまで寝床には入らないようにして、更に眠くない場合は寝床から出るようにした。

眠れる時間から逆算して就寝時間を制限する:現状の「実際に眠れている時間」に、ベッドに入っている時間を近づけることで、寝床内の睡眠の効率をあげるようにした。例えば「元々7時間半寝ていたのだから」と、11時から6時半までの7時間半寝ようとするのはやめた。不眠になってから実際に寝れている時間に近い時間だけ寝るスケジュールにするのだ。一方、いくら実際の睡眠時間が3時間だとしても、3時間だけ寝るのを続けるのは体への負担が大きいとしてどの本でも奨励されていなかったため、どれだけ睡眠時間が短くとも5−6時間程度寝るつもりのスケジュールにすることが多い。私の場合は、11時すぎから寝て5時に起きるような方法をとり、そこから1−2ヶ月かけて起床時間の方を徐々に遅らせる方式をとった。また、昼寝もしないようにした。

睡眠日誌をつける:自分の睡眠に対してPDCAを回せるように、毎日睡眠の日誌をつけるようにした。就寝/起床時間・実際の睡眠時間・途中覚醒の時間については、Apple Watchに入れて昔から使っていたAutosleepというアプリが役に立った。また、日中や寝る前に気をつけたこと、そして起きたあとのパフォーマンスなども併せて毎日記載するようにした。

 

mikantasty.hatenablog.com

このような形で不眠に対して認知行動療法の取り組みを始めてみた。

 

参考図書

不眠症認知行動療法に関する本を10冊ぐらい読んだが、この本はKindle Unlimitedで読める割にものすごくちゃんとした内容なので、1冊お薦めるするとしたらこの本だ。睡眠のメカニズムを研究されていた櫻井さんという方が書いており、科学的根拠を持って睡眠のことを理解できる。また、過去の私のように「必ず7時間半寝なければ調子が悪くなる」と思っていたり、「生活習慣を100%完璧にしないと眠れないのではないか」など睡眠に対して杓子定規にこだわりがちな人に特におすすめだ。睡眠へのこだわりが過度にあると逆に睡眠に悪影響があるということを睡眠科学者としてよく理解した上で、そのあたりの思い込みを適度に緩めてくれる書き方をしてくれている。

 


 

 

 

 

 

 

 

*1:臨床上厳密には、寝られない期間が3日だと不眠症とは呼ばない。不眠症の診断基準は、「夜に眠れなくて日中に障害がある」ということが週3回以上、3ヶ月以上続いている場合に不眠症と診断されるようだ。ただし、これといった一過性の原因(遠足の前とか仕事の大きなプレゼンの前とか )がない状態で3日も眠れないのは個人的には十分すぎるほど辛かった。